【辻】 |
スポーツお好きなんですよね。 |
【小山】 |
すごく好きです。 |
【辻】 |
どんなスポーツを観ますか? |
【小山】 |
格闘技以外なら何でも。この前はバレーボールを観に行ったし、スポーツのない生活なんて考えられない。 |
【辻】 |
いいですよね、スポーツ。 |
【小山】 |
美しいですものね。 |
【辻】 |
そう、動きの美しさもチームワークの美しさも楽しめる。 |
【小山】 |
辻さんはどのスポーツがいちばん好きですか? |
【辻】 |
バスケットボール。これは格別。 |
【小山】 |
面白いですね、バスケット。私アトランタオリンピック観に行って、女子バスケットが抜群に面白かった。 |
【辻】 |
オリンピックも観に行くんですか? |
【小山】 |
行ったんです。 |
【辻】 |
それは相当すごい。そんなピアニスト、他にいないんじゃない? |
【小山】 |
きっといないと思う。(笑)。 |
【辻】 |
NBA(全米プロバスケット)、観てます? |
【小山】 |
大好き!世界最高のスポーツですよね。でも生で観たことなくて。 |
【辻】 |
今年のNBAのファイナルは衝撃的でしたね。スター揃いのレイカーズとスターのいないピストンズの決勝で、ピストンズが勝っちゃって。 |
【小山】 |
大半の人が反対の予想をしていたんですよね。 |
【辻】 |
そう。スポーツの心理学でいうとスターがいくら揃ってもチームとしてセルフイメージが大きくならないケースがあるんです。逆にピストンズは全員で力を合わせたら、スターがいなくてもチームのセルフイメージが大きくなった。 |
【小山】 |
なるほど。 |
【辻】 |
バスケットボールってすごく激しい動きをしながら、ゴルフのパットをするようなスポーツなんですよ。 |
【小山】 |
ああ、そうかもしれない。展開の速さと技と、あとあのショーアップもいいですよね。 |
【辻】 |
そう、ショーなんです!生で観戦したら病みつきになりますよ |
【小山】 |
絶対観たい! |
【辻】 |
僕もチームをもっていて、チームのセルフイメージを大きくするトレーニングをしたら、東京でいちばん強いチームになったんです。 |
【小山】 |
へぇ〜、すごい。 |
【辻】 |
小山さんはスポーツをしますか? |
【小山】 |
自分ではしないんですよ。 |
【辻】 |
でもピアノもスポーツ的じゃないですか?身体を使って自己表現するんだから。 |
【小山】 |
あっ、それはそう。とっても似ていると思う。以前水泳を習っていたことがあるんですけど、手の使い方などいろいろな面でピアノとそっくりだった。必要なところだけ力を入れるとかね。 |
【辻】 |
本番に向けて練習して、それを調整する心の部分が大切だし。 |
【小山】 |
そうそう。 |
【辻】 |
そのためには技術的なことだけじゃなく、日ごろの考え方が問われますよね。小山さんも日常生活を大切にしているんでしょう? |
【小山】 |
ふふふっ、そうも言いきれないけど。でも本番などで緊張してピアノを弾いてるときは、絶対人間性が出ちゃうんです。その人の本質が見えちゃうから怖い(笑)。 |
【辻】 |
本質が見られてしまう恥ずかしさもたっぷりありますけど(笑)愛情が大事 |
【辻】 |
スポーツの世界で(完璧)と(満足)っていうのはよく使いますけど、演奏ではどちらを目指します? |
【小山】 |
完璧っていうのは、楽譜を再現する芸術ではほとんどあり得ない。音が外れてもいいから自分の出したい音を思いっきり出すか、外れたらやっぱりいけないのか、その辺をいつも考えて弾いてますね。 |
【辻】 |
ご自身の満足はどこにある? |
【小山】 |
気持ちをこめられたかどうか。でも、自分がそう思っても、聴く人の評価は違うかもしれないし。 |
【辻】 |
評価は気になりますか? |
【小山】 |
ならないといえば嘘だけど、でもならない(笑)。コンクールでも運、不運があるし、自分でコントロールできない部分はあきらめます。 |
【辻】 |
やっぱり一流選手と同じですね。野球のイチロー選手や松井選手も、自分でコントロールできる範囲とできない範囲をきちんと分けていて、最終的には自分の満足を追求してる。スポーツにはグッドルーザーという言葉があって、相手には負けているけれど、自分の心にいいフィーリングがあれば実は勝っていると。人が評価するピアノも同じですよね。 |