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≪掲載記事≫ |
美を大事にする、第3回 【5月号】
スポーツというと音楽関係のみなさんには、まだまだ自分には関係のないほど遠い世界のことだと思っていらっしゃる方が多いのではないかと思います。スポーツが文化として人間に与える物は元気、感動、仲間、成長だというのがわたしの考えなのですが、なぜ本当のスポーツにはそのような価値があるのでしょうか?それは真のスポーツには“美”があるからです。競い合うことだけなら動物でも行う行為ですし、ご褒美がうれしくてがんばるのも動物でもします。しかし、美を感じ、美を創造し、美を目指す遺伝子は人間固有のものなのです。それではスポーツに存在する美とはいったいなんなのでしょうか?それは、チームワークの美しさ、トレーニングされた技術の美しさ、鍛えられた身体の美しさ、選手の生き方の美しさ、敵味方がお互いを讃え合う美しさ、勝敗に涙する一生懸命の美しさ、などなどです。スポーツのこの世の中に存在する意義はこの美しさへの追求だとわたしは思っています。
この美の追求の中でも、考え方の美しさを追求したのがライフスキルというスポーツ心理学で大事にしている言葉です。『辻メソッド』とはスポーツの中に見る生き方の美しさをメソッド化して、広く多くの人たちに役立ててもらおうというものです。また、わたしはドクターなので健康な身体の美しさとして、栄養やその人にあった運動など美しい生き方、すなわちライフスタイルへのアドバイスもしています。美しい考え方と生き方こそ、スポーツにヒントがあります。そして、そこから学ぶライフスキルやライフスタイルはすべての人に自分にしかない美しさをもたらし、自分らしく生きることをバックアップします。音楽家であれば、それを追求し自分のものにすることは、自分らしさへの鍵を手に入れること。より華のある、より輝きのある、より自分だけの演奏をもたらすことになるのです。
だからこそ、ニューヨークのジュリアード音楽院でもスポーツ医学やスポーツ心理学のカリキュラムがあるのです。自己表現を目指すものにとって、考え方や生き方のヒントを技術以外にも習得することは絶対、必須の条件だという考えなのです。実は日本では古くからはそれを武士道として長く受け継がれて来ました。今では剣道が道としてそれを追求しています。剣道は安易にオリンピックに参加せず、そこに存在する考え方や生き方の美しさを追求する道をまず何よりも大事にしています。そしてその道の先にこそ、最高の一撃、自分にしかない表現、すばらしい結果がやってくるという信念を貫き通しているのです。わたしはぜひこのような道を現代流にアレンジしメソッド化してより広く音楽の世界の方々にお伝えしていきたいと思っているのです。お楽しみに。
わたしの書いた『武道・スポーツの真髄』(日本武道館)という本を5名の方にプレゼントいたします。普段は武道やスポーツにまったく縁遠いみなさんが職場や学校や通勤中や寝る前などに考え方や生き方の美しさのヒントが満載のこの本を読んでいる姿を想像するとなんだか“にんまり”してしまうのはなぜでしょうか? |
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