書籍案内 マスメディア情報 辻メソッド オリジナルCD Mail to Dr.辻 Home 辻ミュージックワールド エミネクロス・グループ


≪掲載記事≫
ピアノを心から楽しむために…長続きのコツ、やる気を出すには?
ピアノを練習しているけれど、なかなか上達しないから飽きてきた、
スランプにおちいってやる気が出ない…そんな、あなたに、
スポーツドクターの辻秀一先生がモチベーションを保つ秘訣を伝授します。

「弾いていない時間も含めて、
ピアノが自分を豊かにしてくれるんだ、
ということにも目を向けていただきたいですね」
スポーツでも音楽でも、何をするにしてもまずは心のエネルギーが大切です。今この瞬間の心のエネルギー。それを僕は“心のコンディション”とか“セルフイメージ”と呼んでいます。セルフイメージはいろいろな状況に影響されて大きくなったり小さくなったりします。例えばスポーツで“ホーム&アウェイ”という言葉がありますね。選手たちが地元の試合ではうまくなるから勝つというわけじゃなくて、これは地元でリラックスしてセルフイメージが大きくなるから勝てるんです。同じように、セフイメージが大きいと、やる気もでてスポーツジム通いやピアノも続けることができるけど、セルフイメージが小さくなると長続きしない。ですから、セルフイメージをいかにして大きくするかが大事なんですよ。
 セルフイメージの大小に影響するものとして、まず、環境があげられます。どんな環境が良いかという答えはありません。
基本的には好きかどうかが大事です。習う教室の雰囲気だとか、どういうエリアにあるかとか。好き嫌いの感情はトレーニングにより変えられるものではありません。もちろん“好き”の範囲を広げることはできますが、まずは好きな環境を選ぶことです。
 他人の影響もセルフイメージを左右します。どんな先生に習うのか、どういう仲間が一緒か。学校で算数が好きか嫌いかを決める要因の大半は先生ですよね。先生が面白く教えたとか、先生と波長があったとか。スポーツクラブではインストラクターのお姉さんが好きで続くオジサンもいますね。動機は不純ですが、続くんだからOKです(笑)。逆に体重を1キロでも落とそう、というまっとうな理由で来ている人はすぐやめちゃったりするんですよ。
 あとひとつセルフイメージに大きく関わるのが自分自身です。環境や他人は自分では変えようがありません。その環境や人のせいにしてやめていくケースが多いんですよ。でも、自分の心持ちは自分で変えられます。どんな環境でも自分のモチベーションをある程度保てる考え方をするための、小さなヒントでも持っていれば、何でも長続きします。これが社会力というか、心の力、ライフスキルです。
自分らしく輝く クオリティ・オブ・ライフのために
 このようにいろいろな要因に左右されるのがセルフイメージですが、これを大きく保ってやる気を出させるものは何か。主に3つあると思います。
Vision=未来、Growth=成長の過程、Fun=今現在を楽しむこと。
 なんにでも意欲を持って取り組んでいる人が、必ず環境や人に恵まれて幸せで満々でやっているかというと違うんです。
≪掲載記事≫
 
ビジョンとういうのは、将来うまくなったらどんなにうれしいか等々、未来の自分像にプラスの感情を重ね合わせて思い浮かべられる力です。スピードスケートの清水宏保君は無茶苦茶苦しい練習をしていても笑っているんです。それは、今の苦しさではなくてオリンピックで気持ちよく滑ったらどれだけ楽しいかということを思うからなんです。ヴィジョンには遠近法があります。20年も先のことなら、なんだって自由に思い浮かべられる。ピアノが相当上手になって楽しいだろうな、とか。それで、プラスの感情が湧くのなら、いくらでも遠くへ思いを飛ばせばいいんです。でもあんまり遠い先ではイメージが湧かないときもあります。そういう場合は、3ヵ月後にもっと左手の使い方がうまくなってここが弾けたらうれしいだろうな、と近場のビジョンを持つ。常に、やる気が持続する人は、こういう遠近の切り替えを自然にやっています。 
 成長していくことに喜びを持つ、というのがグロースの視点です。何かができたかできないか、という絶対的な価値ではなく、自分自身に起こった変化を喜びましょう。いまだに楽譜は読めないかもしれないが、でもドとレの違いがわかるようになったことを喜びとしよう。結果を気にするからいけないんです。結果を気にする人は他人との比較もしてしまうけれど、結果や人とくらべてどうかじゃなくて、あくまでも自分自身の変化を大事にする事です。その変化の中身にしても、数字や技術内容にだけに重きを置き換えないことです。ピアノをやっていて、だんだん楽譜に向かうのが楽しくなってきたなとか、会話が増えたとか、朝早く起きるようになったとか(笑)。こんなことをピアノがうまくなること以上の人生の財産だ、と思いませんか?ピアノを弾いていない時間を含めて、自分を豊にしてくれてるんだ、ということにも目を向けていただきたいですね。
 ファン、というのは現在の楽しみを大事にすることです。今現在の中に、セルフイメージを大きくしてくれる素材を見つけていく。基本は自分の好きなことをする、ということです。自分で好きなものを選んでいく。曲も好きな曲の好きなところから練習してもよいでしょう。決まった順番にとらわれずに。好きなものに対する感覚を磨くには、日頃から人や物事の良い面を見るようにすることです。今日の練習で良かったところはどこかしら、と。私たちは日常悪いところを見る練習ばっかりしてる。反省会って一番いけませんね。あれはわるいところを言い合って、セルフイメージを小さくする会ですから(笑)。「昔は出来たのに・・・と、過去の自分と比較するのもよくないです。現在の自分を受け入れて、帰られない過去は見ないようにしたいですね。
 そう考えてみれば自分自身の成長や成功には限りがありませんし、人が成長しても自分の成功が減るわけじゃない。自分らしくクオリティ・オブ・ライフは人の数だけ用意されているんです。そして誰かが「ピアノ上達されましたね」と言ってくれたら謙遜せずに「ありがとう」と言ってください。また、褒めてもらったときはもちろん、注意されても感謝です。謙虚な姿勢で「ありごとう」を口癖にすることで、セルフイメージも大きくなります。
 自分のものの考え方を変えていくことで、自分らしさを大事にしながらハッピーに生きていくことができる。環境や人の影響を受けつつも、結局は自分次第なんですよね。
最後の一手は自分にある。幸せなことじゃないですか。