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長時間のつらい練習はもういらない!
リラックスした集中で緊張からも開放される
頑張らなくていい、
自分を信じる心のゲームの克ちかた
演奏技術の質&高める手引書 |
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序 |
音楽のインナーゲーム ティモシー・ガルウェイ |
5 |
第1章 |
私たちの中のモーツァルト |
9 |
第2章 |
インナーゲームの原理 |
19 |
第3章 |
インナーゲームの技能 |
37 |
第4章 |
知覚の力 |
51 |
第5章 |
意志の力 |
69 |
第6章 |
信頼の力 |
95 |
第7章 |
解放の価値 |
107 |
第8章 |
妨害の対処 |
133 |
第9章 |
音楽体験の質 |
145 |
第10章 |
理想の指導と学習 |
153 |
第11章 |
素晴らしい親と先生 |
167 |
第12章 |
指揮とアンサンブル演奏の魅力 |
181 |
第13章 |
音楽を聴く力 |
199 |
第14章 |
心で考え脳で感じる |
219 |
第15章 |
あなたの内なる作曲家 |
233 |
監訳者 |
あとがき 辻 秀一 |
251 |
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| 音楽のインナーゲーム 〜はじめに〜 |
本書は、本来人間はどのようにして学習するのかという原則を基にしたインナーゲームという理論を、スポーツ以外の分野に応用した初めての書物です。音楽とスポーツは、上達していく過程において似ている点が多く、この本が音楽界を通して世に出ることをとても嬉しく思います。
スポーツも音楽も「play(プレイ)」するものですが、どちらの場合も厳しい練習や訓練が欠かせません。両方とも、生き方、表現方法、テクニック、それにインスピレーションなどのバランスを必要とする自己表現の活動です。身体をある程度コントロールすることを必要とし、また、すぐにはっきりとした結果が表れ、その結果がプレイヤーに適宜フィードバックされるという点でも極めて似ています。スポーツも音楽も、一般的に観衆の前で演じるものなので、プレイヤーは観客にパフォーマンスの素晴らしさを楽しんでもらう機会を与えられることができると同時に、プレッシャーや恐れや欲などの感情的ゆらぎを感じさせることにもなるのです。
インナーゲームの原則で最も重要な点は、人間はとりわけ結果重視のさまざまな文化活動において、とても精神的にゆらぐのだということを知ることです。スポーツであれ音楽であれインナーゲームの要点はどれも同じです.
それは、人間の可能性を妨げる精神的な干渉を減らすことなのです。本書は、音楽の技能と学習に新たなチャンスをもたらすために、こうした障害物を認識し、克服する方法を提供します。
私はスポーツの練習中に起こる、うまくいかなかったり楽しくなかったりすることの多くが、教え方に端を発していることに気づいていました。
そこでこれまでのインナーゲームに関するスポーツの本では、通常とはまったく異なる指導アプローチ法を指示してきました。ゲームの喜びを奪い取ってしまうようなフラストレーションやゆらぎに陥らずに、よりよいパフォーマンスを達成するためのテクニックがうまく読者に伝達されたのではないかと思っています。
さて、この『演奏家のための“こころのレッスン”(音楽のインナーゲーム)』によって、バリー・グリーンは音楽の分野に新たな息吹を吹き込み、新しい学習の可能性をもたらすために、この手法を音楽の分野に移し替えたといえるでしょう。
1970年半ばに『インナーテニス』が好評を博して以来、さまざまなテーマに関するインナーゲームの本を共同執筆しようと、大勢のひとが私の所にやってきました。バリーは、『インナースキー』がもたらした結果に興奮し、この方法論を音楽に応用して本を書きたいと考えたのです。「聞いてくれよ、ティム」彼は私に向かって大声でこう言ったのです。「僕は君が書いた本にあるキーワードを少し変えるだけで、音楽のインナーゲームの本が書けると思うんだ。まったく同じ魔法がどこでも同じように使えるはずだよ!」と。 私は、インナーゲームを他の分野にただ機械的に「翻訳」するのが可能かどうかを、何度か考えたことがありました。しかし、テーマによってその独自性や専門的側面を反映するよう、インナーゲームの手法も再形成することが重要だと感じていたのです。そこで私は彼に次のように尋ねました。「バリー、インナーゲームが音楽の分野にもたらす可能性について、2、3年かけて検討してみたらどうかな。オーケストラや学生と演奏するなかで可能性を探り、その方法や新しいテクニックを開発し、それを自分で使って経験を積み、練り上げてみるんだ。そして、その技術がうまくいくようなら、私たちが学んだことを他の人たちと分かち合うために本を書くことを考えてもいいかもしれない」と。
そして、そこがいかにもバリー・グリーンらしいところなのですが、彼はこの挑戦を受けて立ち、約3年の間、本を書くことについていっさい私に言わなかったのです。この間彼は、自分自身の演奏や指導を通じて、文字通り何千時間にも及ぶ研究と実験を行っていました。音楽を教えていくことにプラスの効果を与えようとするバリーの信念と実践によって、この本は技巧を凝らした机上の空論的な理論書ではなくなったのです。この本こそ、音楽技術の質を高めるための優れた本当に実践的な手引きであり、バイブルとなったのです。
バリー自信が本文を書き、ここに挙げられている具体的なテクニックを実際に開発しました。私はバリーと各章の内容についてじっくりと話し合ったので、本書の中でインナーゲームの原則に関する説明が完全に活かされているかどうかについては私に責任があります。私たちの協力関係は、親密でかつ非公式なもので行われていきました。バリーが音楽への応用例を開発し始めると、私自身ますます音楽に興味をそそられるようになり、バリーと私は音楽指導者などを対象に音楽のインナーゲームに関するセミナーを催し、さらに、私自身も音楽のインナーゲーム「学習実験室」を持つつもりで、過密なスケジュールを縫ってアルト・リコーダーを始めたのです。
私がバリーについて最も感心したのは、本の執筆という当初の興味から、音楽のインナーゲームを彼自身や生徒にとって画期的な体験にすることへと照準を移した、その能力に対してです。今回の体験を拝啓として、インナーゲームは音楽界に消しがたい成果をもたらすことができたと私たちは自負しています。ぜひとも読者の方には、この本を通してできるだけ同じような体験をしてほしいと私は思っています。この本は「正しい応え」の本ではありません。むしろ新たな可能性を、読者自身の学習スタイルで見つけていくための手引きのようなものです。この本は、いくつかの古い「規則」を捨てて、自分の生まれながらに待っている学習能力をもっと信じるように促しています。
それはテクニックの否定ではなく、音楽の表現を妨げないような心構えについて学習する取り組みだ、ということをまず理解してほしいと思います。
私自身、短期間ですが、音楽の学生に教えた経験から、この方法は非常に効果があることがわかりました。インナーゲームの簡単な方法を提供しただけで技能レヴェルが異なるさまざまな音楽家たちの演奏の質に驚くべき変化が表れたのです。この種の変容がテニスコートテニスコートで起こるのはすでに見慣れていましたが、音楽でもすぐにこのような結果を見られたことは特別な喜びでした。
研ぎ澄まされたパフォーマンスを生み出すメカニズムが、スポーツでも音楽でも同じように働くのだということがわかったのです。またそこでは、同じように教えすぎやコントロールのしすぎが生徒や選手たちの恐れや自己壊疑につながりかねないこともわかりました。つまりたくさんの指示で頭がいっぱいになっている時は、テニスボールに集中するのは実際不可能なのです。失敗するのではないか、インストラクターの前でうまく表現できないのではないかと恐れている時は、試合を楽しんだり、上手にプレイしたりするのはほとんど無理でしょう。恐れや過剰なコントロールは、最高のテニス・プレイヤーを決して生み出さないのです。同様に、これらのことは素晴らしい音楽の演奏にとっても妨げとなることがわかりました。
音楽の本質は自己表現だと私は思います。つまり創造性の源に達するのを促し、表現の自由を許す環境が必要です。音楽を学ぶ最終的な産物が喜びであり、妙技であり、また、インスピレーションであるなら、そのための学習や教授におけるプロセスにおいても同じような体験ができるはずではないでしょうか。私は『音楽のインナーゲーム』を読んでくださるみなさんが、本書で述べた豊富な資料を用いて、音楽の喜びを存分に体験されることを心から望んでいます。 |
W.ティモシー・ガルウェイ |
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| ≪あとがき≫ |
まずこのすばらしい書籍がこうして日本の多くの音楽関係者の皆様の目に触れるよう出版できたことに心の底から感謝いたします。本書の英文タイトルは『Innergame
of Music』です。インナーゲームとは極めて興味深いおもしろそうなタイトルだと思いませんか!しかもそれが音楽の・・・。何かよくわからなくても、なんかおもしろそうだなと思って、とにかく読んでいただいたあなたは間違いなく満足していることでしょう!そう、こんな書籍がほんとうにほしかったのだ、と。
わたしはスポーツドクターとしてパフォーマンス・エンハンスメントを専門としています。パフォーマンスとは自己表現のこと。エンハンスメントとは発揮するとか向上するという意味です。スポーツの世界では自己表現がパフォーマンスとなって直に結果として結びついていきます。それを発揮し向上させるもっとも大事なものの1つが心で、それをサポートしているのがスポーツ心理学です。そして、スポーツはとても分かりやすいので、すべての人が自己表現を高めようとするときとても参考になります。どうやってストレスマネージしているのだろうかとか、上手く行ったときのチームワークには何があったのかとか、実力を発揮できたときの考え方はどうだったとか、動揺しないための考え方や物事にとらわれないような心持ちはどうやって作り出しているのかなどなど。このように誰でもが関心のある心、でもわかりにくい心を、スポーツを題材によりわかりやすく汎用的に利用できるようにしているのが応用スポーツ心理学なのです。したがって、応用スポーツ心理学はもちろん音楽の分野にも広く活かされています。ニューヨークのジュリアード音楽院でも応用スポーツ心理学に基づいた心の授業があり、必ず生徒たちは受けるそうです。わたしはこの応用スポーツ心理学をベースに、スポーツを素材にしたあらゆる人が自分らしく輝くための心のトレーニングを『辻メソッド』として確立しています。自分自身の心として揺らがない心やとらわれない心のトレーニング、すなわち左脳と右脳のバランスを作り出し、心理学用語を用いれば安定したセルフイメージと柔軟なセルフコンセプトを持てるような心の力を養うのです。この心の力を社会力とわたしは呼称しています。また自分だけでなく人の心のエネルギーであるセルフイメージを大きくする心の力をコーチ力と呼んで強調しています。話すより聴く姿勢、結果より変化を見る姿勢、期待より応援する姿勢、聴かせるより見せる姿勢、そして結果より過程を大事にして楽しませる姿勢などがコーチ力として大切で、そのための気づきプログラムです。このような社会力とコーチ力の両方の心の力を“ライフスキル”と呼んでおり、このようなライフスキルを獲得して行くヒントとなるメソッドを『辻メソッド』と呼んで広く展開しています。この『辻メソッド』のためのスキルにインナーゲームオブミュージックのスキルを一部導入しています。本書のさまざまな経験に裏打ちされた手法はとても参考になります。本書のおかげでわたしの辻メソッドはより充実したものになりました。インナーゲームもやはりスポーツからヒントを得た心のゲームの勝ち(克ち)方です。音楽の世界こそ、これからはインナーゲームの手法をもっともっと導入するべきだし、広くは辻メソッドを身につけたライフスキルの高いすばらしい音楽家の方々が増えることを心から願っています。そして、本書が形のない、評価しにくい、しかし極めて大事な心というものの存在を改めて多くの方に明らかにし、その力としてのライフスキルを身につけて行くために必要なたくさんのヒントになることは間違いありません。 最後にわたしの愛するスポーツを元気、感動、仲間、成長というまったく新しいコンセプトを参加者1人1人が享受するように活動している理念共有型スポーツクラブ“エミネクロス・スポーツワールド”をNPOの代表として運営しています。スポーツを嫌いと言わず、ぜひ応援ください。わたしのweb (www.eminecross.com)をご覧ください。ここでさまざまのスポーツを通じたライフスキルを実践的に私自身が学習しているのです。 本書を出版するにあたり多大なるご尽力をいただいた音楽之友社の塚谷様、ミュージックリエゾンの丹野由美子さんには心より感謝いたします。ありがとうございます。 |
平成17年4月吉日
スポーツドクター
辻秀一 |
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| 平成17年7月17日(日)の朝日新聞の「読書」欄で紹介されました。 |
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