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ピアノの先生向けの
コーチ力本
すぐに重版されました!
みなさんの求めていた
内容がここにあります。

 
 

発行:ヤマハミュージックメディア
定価:1,470円(税込)

≪目次≫
第一章
誰でも人のためになることはできる
  自分らしく/自分の一番
  自分に克つ/グッドルーザー
  プレイする/パフォーマンスの源
第二章
人のためになる五つの生き方、考え方
  のコンディションとしてのセルフイメージ/揺らぐセルフイメージ
  感情を忘れていませんか/環境が心をゆさぶる
  過ぎたことの影響を受ける心/まわりの人の存在、態度、言葉で心も変わる
  自分の心は自分次第
第三章
人のためになっている人たち
  コーチ力はペアレンティング/理解する姿勢
  見通す姿勢/愛する姿勢
  行動する姿勢/ 楽しませる姿勢
  アクノレッジする姿勢
≪はじめに≫
 ピアノといえばわたしも小学校の頃習っていました。あまりよい思い出もなく、小学校4年生のときにやめてしまいました。しかし、なぜやめてしまったのだろうとか、今弾けたらどんなに楽しいだろうとか、今からでもやりたい、などの気持ちがはっきりとこの年齢になった今のわたしの心の中に存在しています。そんなわたしのような方々が他にも少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?そして、なぜそんな人が多いのだろうかとふと考えてみたのです。
 わたしはスポーツドクターという仕事で日々多くの方々の自分らしさをテーマにして、スポーツ医学とスポーツ心理学を使ったカウンセリングなどのサポートをしています。クライアントといえば、スポーツ選手はもとより、教員、OL、会社役員、音楽関係者、バレリーナ、受験生などなど、自分らしくありたい人たちへの心とライフスタイルへのアドバイスやトレーニングをしています。またスポーツする子どもたちの環境作りも大きなライフワークの一つです。スポーツによって生きる力を育てよう、スポーツで心のコディションであるセルフイメージを大きくしようという活動を“チームエミネクロススポーツ塾”にてNPO法人代表という立場で行っています。その活動の中で最も力をいれていることの一つが子どもの環境にもっとも影響を及ぼすコーチたちの教育です。コーチたちと理念を共有するだけでなく、コーチたちに実際のコーチ力を育成していくプログラムをやっています。そんな活動に奔走している時、ふとわたしのピアノに関する先程の気持ちが思い出されたのです。もしかしたら、わたしが一生懸命に今構築しようとしているスポーツの世界と、音楽やピアノの世界も同じ問題を抱え、やらなくてはいけないことも同じなのではないかということを・・・。スポーツの持つ本来の可能性やすばらしさを、その環境を作る大人たちがコーチ力のなさ故に子どもたちが享受できないでいる。スポーツもほんとうは嫌いではなかったのに、やめてしまったとか、オリンピックをみてやってみたいのにとか、スポーツができたらどんなに楽しいだろうか、などの思いを持った方々との出会いが今の活動の原点になっているといっても過言ではないのです。それはまるでピアノに対するわたしの気持ちとまったく一緒なのではないでしょうか。このような気持ちをもつ大人たちを一人でも少なくしたい、そんな思いからピアノの先生方たちにも、わたしのコーチ力プログラムを本書にてご紹介することになりました。紹介する機会をこのように与えていただき、心からうれしいと思っています。
 コーチ力のすばらしさは、自分らしさへのお手伝いなので、ただ楽しく続けたい人へのアプローチとしてだけでなく、本当にコンクールなどを目指している人たちにも必須の指導力です。欧米の応用スポーツ心理学で自分らしく活躍するための心の力ライフスキルは、活動の普及と強化の鍵だとされています。つまり、スポーツや音楽は心を育てるというすばらしい魅力があると同時に、スポーツや音楽では心を育てることがあってはじめて試合で勝ったり、よい演奏ができるという考え方です。その心の力であるライフスキルや心をうまく育てるのが本書でみなさんにお伝えするコーチ力なのです。コーチ力は普及や強化の鍵なので、ピアノの先生の立場で申し上げれば、生徒さんの数はが増えるばかりでなく、続けてくれる子どもたちに限らず、コンクールで勝利する子どもたちもが同時にたくさん出るようになるのです。あなた自身も楽しそうではありませんか?コーチ力を本書を通じて身につけていただき、あなたのまわりに輝く人たちを増やしたくありませんか?コーチ力のあるあなたなら、それが実現できるのです。それはあなた自身の喜びにもなるはずです、きっと。読み終わったあなたの変化と成長を心から楽しみにしています。
≪あとがき≫
本書を最後までお読みいただきありがとうございます。
  わたしがみなさんにお伝えしたいコーチ力について、少しはご理解いただけたでしょうか?
 コーチ力というのは人間社会の中で普遍的な考え方、生き方です。コーチ力をピアノの指導をきっかけに少しでも身につけることができたみなさんは幸せさだと思います。コーチ力を知って生きるのと知らないのでは大きな違いが生じるからです。ここでご紹介した理解する姿勢、見通す姿勢、愛する姿勢、行動する姿勢、楽しませる姿勢、アクノレッジする姿勢はコーチ力の基本です。どんな場面でも誰とでも人間関係のあるかぎり必要な姿勢です。それは人間のもつ本能というか遺伝子にだれもが共通の思いをもっているからです。すなわち、理解してほしいとか、見通してほしい、愛してほしい、行動してほしい、楽しませてほしい、つながりや存在価値を感じさせてほしいという思いです。それを感じ、その思いを満たして上げる。それがコーチ力です。満たされた人間は間違いなく自分らしく輝くことになります。先生は鍛える人ではなく、輝かせる人のはずなのですから・・・。
 本書で強調しているいま一つはセルフイメージの存在と価値です。自分らしさのキーワードとなる心のコンディションです。この存在と価値を充分自分のものとして咀嚼、理解していたただいてはじめてコーチ力まで至ります。そして結局は、ピアノを通してセルフイメージの大きな人たちが一人でも多く増えること、それがわたしの願いです。
 また応用スポーツ心理学がこうして実際にピアノや音楽の先生方に活かされることが何にもましてわたしの喜びです。このような書籍の形もまたわたしのミッションであるスポーツの社会的価値の創造につながる活動だからです。すなわち、スポーツには社会に役立つさまざまな価値があり、それを社会のいろいろな分野に活かすというわたしの思いです。この思いに基づく活動として、わたしのメンタルトレーニングとコーチ力セミナーを1つにした「辻メソッド」(www.musician-cafe.com)をブロードバンドを使ってeラーニングで音楽関係のみなさまにお届けするサービスを2005年春開始する予定です。わたしの生の声を通じて、音楽関係者の方々の心をサポートしていきたいと思います。本書の内容をさらに深めるためにも、ご利用いただきたいと思います。お楽しみに。
 最後になりましたが、音楽の世界にわたしを導いてくださったミュージックリエゾンの丹野由美子さん、多忙の中わたしの執筆をフォローしてくださったライターの加藤亜希子さんに心からお礼を述べたいと思います。また、本書の出版にあたりご尽力いただいたヤマハミュージックメディアの野原玲子さんに心より深謝いたします。そして、多くのピアノをはじめ音楽の世界の方々、これからもよろしくお願いします。
平成16年10月吉日
スポーツドクター
辻秀一
レガート紹介記事
≪掲載記事≫
コンクールで入賞したピアニストは、口をそろえて「一位になることよりも自分の表現を観客に伝えることに専念しました」という。優勝を強く意識した人よりも、いい音楽をしようと思った人が結果を残しているわけだ。
 この問題は、タイガーウッズやイチロー選手、松井選手がここ一番というプレッシャーのかかる場面で、なぜ安定してよい成績が残せるのか?という疑問とも共通している。そこを見事に説明してくれるのがスポーツ心理学をベースにした「辻メソッド」。提唱者の辻秀一はこう話す。
 「スポーツ選手の運動能力は特別です。でも、大変なプレッシャーの中で彼らがどうやってよい精神状態を保とうとしているのか。そうした生き方、考え方の部分は、誰にでも参考にできます。彼らに学ぶことで、自分らしさを引き出すことができるのです」
 辻先生はスポーツ選手のコーチのほかに、ピアニストのメンタルトレーニングも手がけている。今回『ピアノの先生のためのコーチ力』という本を出版したのも、スポーツ心理学からピアノ・レッスンの質を向上させるためのさまざまな知見がえられるからだ。
 本のなかで中心となっているのが、今の瞬間の心の状態を表す「セルフイメージ」という概念である。誰でもほめられたり、ものごとがうまくいったり、リラックスした気分でいればセルフイメージは大きくなる。逆に、トラブルがあったり、叱られたり、プレッシャーにさらされていると、セルフイメージは小さくなってしまう。ここ一番で力を発揮するためには、どんな場面でもセルフイメージを大きく保つことが必要になる。この本では、その保つための方法をピアノ・レッスンの具体的な場面を想定しつつ「この場面にセルフイメージは小さくなる」「大きくなる」と解説している。
 「得意である、評価されるからピアノをやるのでしょうか?達成や結果の喜びは、動物が何か上手に芸をして、餌をごほうびにもらうのとおなじです。誰でも、子どものころにはプレイする喜びがあったはず。先生の役割とは、弾ける喜びを伝えることにあるのではないでしょうか」
 結果や勝敗にこりかたまっていると、ついプロセスをおろそかにしがちになる。だが、一流のスポーツ選手や音楽家は、結果に至るまでのプロセスを大事にしているのだ。「毎回の一瞬一瞬の質の良さの集積が発表会なのです。人生にとってピアノは何なのでしょうか
。自分が目指す目標と日常をむすびつけることが大切です。そこがしっかりしていればセルフイメージも高くなる。安定した自分らしい生活が送れるようになりいざというときにも力が発揮できるのです」
 これまでピアノに限らず、先生というのは「専門的な知識や技能さえ持っていればよい」と考えられがちだった。確かに知識や技能は大切だが、そこに生徒のセルフイメージを大きくするコーチ力が加われば鬼に金棒というもの。生徒の力を最大限に発揮させる「辻メソッド」に今後も注目したい。